「75歳で保険証が変わった!妻の扶養も外れて保険料が…」後期高齢者医療制度のよくあるケースを薬剤師が解説
「75歳の誕生日を過ぎたら突然保険証が変わっていた」「子どもの社会保険の扶養に入っていた妻が、75歳になったら"扶養を外れた"と言われた」「以前は1割負担だったのに、最近2割になった気がする」——薬局の窓口でよく耳にする疑問や戸惑いです。後期高齢者医療制度(長寿医療制度)は、75歳になると自動的に切り替わる制度ですが、しくみを知らないと窓口での変化に驚くことも少なくありません。よくあるケースをもとに、薬剤師がわかりやすく解説します。
- 後期高齢者医療制度に切り替わるタイミングと手続き
- 75歳になると「扶養」はどうなるか
- 窓口負担割合が1割・2割・3割に分かれるしくみ
- 保険料はどのくらいかかるか
- 切り替え前後で確認しておくべきこと
ケース1:「誕生日の翌月から保険証の色が変わっていた。何もしていないのに大丈夫?」
74歳の男性・Aさん。会社員時代に加入した健康保険組合の任意継続で、ずっと水色の保険証を使っていました。75歳の誕生日から数週間後、届いた郵便物の中に見慣れない「後期高齢者医療被保険者証」が入っていました。「手続きをした覚えがないがこれは本物なのか」と来局されました。
後期高齢者医療制度への切り替えは、75歳の誕生日当日から自動的に行われます。それまで加入していた健保組合・国民健康保険・共済組合などは自動終了し、原則として本人の手続きは不要です。自治体から「被保険者証」が事前または誕生日直後に郵送されてきます。
Aさんの保険証は正規のものでした。それまで使っていた健保組合の保険証は誕生日をもって失効しているため、以降は後期高齢者の被保険者証を使用することになります。
ケース2:「息子の扶養に入っていた母が、75歳になったら"扶養を外れた"と言われた。保険料が別にかかるの?」
73歳の女性・Bさんは、会社員の息子さんの社会保険(健康保険)の扶養被保険者として保険料の負担なく医療を受けていました。ところが75歳を迎えた翌月、息子さんの会社から「75歳になったので扶養から外れた」と連絡がありました。「なぜ急に扶養から外れるのか」と困惑されていました。
後期高齢者医療制度では、「扶養」という概念がありません。75歳以上の方は全員が後期高齢者医療広域連合の「被保険者(本人)」になります。たとえ収入がゼロであっても、子どもや配偶者の扶養には入れず、個人として保険料を負担します。
Bさんはそれまで保険料をほとんど負担していませんでしたが、後期高齢者医療制度に移行後は個人として保険料が発生します。ただし、低所得者には軽減措置があり、年金収入が少ない方は保険料が大幅に減額されます。保険料の計算・軽減については住所地の市区町村窓口に確認することをお勧めします。
ケース3:「去年まで薬代が1割だったのに、今年から2割の明細が出ている。間違いでは?」
76歳の女性・Cさん。後期高齢者医療制度に加入してから2年、ずっと1割負担でした。今年に入ってから薬の明細を確認すると「2割」と記載されています。「金額が増えた気がするが窓口で間違えられているのでは」と来局されました。
後期高齢者医療制度の窓口負担割合は、前年の所得に応じて毎年8月に見直しされます。Cさんの場合、前年(令和7年)の収入が一定以上と判定されたため、令和8年8月以降の負担割合が1割から2割に変更になっていました。窓口での間違いではなく、制度上の正当な変更です。
| 窓口負担割合 | 対象の方(目安) |
|---|---|
| 1割 | 一般(現役並み所得者・一定以上所得者に該当しない方) |
| 2割 | 一定以上所得者(住民税課税所得が28万円以上、かつ年金収入+その他合計200万円以上など) |
| 3割 | 現役並み所得者(住民税課税所得が145万円以上など) |
なお、2割負担への変更時(令和4年10月以降)は、外来診療に限り月の自己負担増加額の上限が3,000円に設定されています(施行後3年間の配慮措置)。薬局での負担増加分も一定範囲で保護されています。詳細は加入している後期高齢者医療広域連合に確認してください。
薬剤師からのまとめ:後期高齢者医療制度のポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加入タイミング | 75歳の誕生日当日から自動加入(手続き不要) |
| 扶養 | 扶養という概念がなく、全員が「被保険者」として個人で保険料を負担 |
| 負担割合 | 1割・2割・3割。前年所得に応じ毎年8月に見直し |
| 保険料 | 全国平均は月約8,000円程度(所得に応じて変動・低所得者は軽減あり) |
| 高額療養費 | 後期高齢者医療制度でも高額療養費制度の対象(月の上限あり) |
「保険証が変わった」「負担割合が変わった」「扶養から外れたと言われた」など、窓口での変化に気づいたときは、まず加入先の後期高齢者医療広域連合(市区町村窓口が窓口)に確認するのが確実です。薬局の薬剤師も、負担割合の確認や制度の概要説明のお手伝いができますので、気になることはお気軽にご相談ください。