「明細書に"かかりつけ薬剤師指導料"という項目がついていた…」かかりつけ薬剤師制度のよくあるケースとしくみを薬剤師が解説
「いつも来ている薬局で処方薬をもらったのに、最近になって明細書に『かかりつけ薬剤師指導料』という見慣れない項目がついていた」——薬局の窓口や患者さんからのご相談でよく見かけるケースです。「サインしたのかな?」「高くなったのはなぜ?」という戸惑いをよく耳にします。今回は、かかりつけ薬剤師制度のしくみとよくあるケースを薬剤師が解説します。
- かかりつけ薬剤師制度とは何か・どんなメリットがあるか
- いつの間に"かかりつけ薬剤師"になっていたのか(同意書のしくみ)
- 指導料はいくら高くなる?通常との料金差
- やめたい場合はどうすればよいか
- かかりつけ薬剤師を続けるメリットと注意点
よくあるケース:「いつの間に高くなったの?」
Aさんは67歳の男性。高血圧と高脂血症の治療で、10年以上同じ保険薬局に処方箋を持参しています。担当してくれる薬剤師のBさんとは顔なじみで、「薬の飲み方や副作用のことも気軽に相談できる」と信頼しています。
ところが先月、薬局でもらった明細書をよく見ると、これまでになかった「かかりつけ薬剤師指導料1 76点」という項目が。「先月まではこんな加算なかったのに、いつから?」「自分は何かサインしたのだろうか?」と不安になり、次回の受診時に薬剤師に確認してみました。
「先月ご来局いただいた際、かかりつけ薬剤師制度のご説明をして、同意書にご署名をいただきました。ご不明な点があればいつでもご相談ください」という答えでした。Aさんは「確かにサインした気がするが、内容をよく読まなかった」と思い当たりました。
何が起きていたか:かかりつけ薬剤師制度とは
かかりつけ薬剤師制度は、2016年の診療報酬改定で新設されました。患者さんが特定の薬剤師を「かかりつけ薬剤師」として指定し、書面で同意することで、その薬剤師が服薬情報の一元管理・24時間相談対応・在宅への対応などを行うしくみです。
| 加算の種類 | 点数 | 3割負担の目安 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| かかりつけ薬剤師指導料1 | 76点 | 約230円 | 一般の外来患者 |
| かかりつけ薬剤師指導料2 | 56点 | 約170円 | 在宅患者など特定条件下 |
| 通常の指導料(薬剤服用歴管理指導料) | 45〜59点 | 約140〜180円 | かかりつけ薬剤師なし |
上の表の通り、かかりつけ薬剤師指導料1(76点)と通常の指導料(45点)の差は約31点=3割負担で約90〜100円です。月1回の受診なら1ヶ月あたり約100円の差と考えておくとよいでしょう。
かかりつけ薬剤師の算定には、患者さんの文書での同意が必要です。薬局の窓口で「説明書兼同意書」へのサインを求められることがありますが、忙しいタイミングや内容確認が不十分なまま署名してしまうケースも少なくありません。サイン前に「これはかかりつけ薬剤師の同意書ですか?費用は変わりますか?」と一声確認するのがおすすめです。
薬剤師の解説:かかりつけ薬剤師のメリットと注意点
かかりつけ薬剤師制度には、費用の上乗せ以上のメリットがある場面も多くあります。
- 複数病院の処方を1人の薬剤師が一元管理:相互作用・重複投薬のチェックがより細かくなる
- 電話相談に対応:薬の飲み合わせや副作用の疑問を、直接担当薬剤師に相談しやすい
- 在宅対応の基盤:将来的に在宅医療が必要になったとき、すでに信頼関係のある薬剤師に依頼しやすい
- 残薬確認・重複排除:引き出しに眠っている薬の整理を相談しやすい
- 担当薬剤師が不在のときは算定できない:指定した薬剤師が休みの日や退職・転職した場合、その月は通常の指導料になる
- 薬局を変えると継続できない:別の薬局で処方箋を出す場合、かかりつけ薬剤師制度は引き継がれない
- 毎月の費用が約100円増える:高額療養費の対象になるほどの金額ではないが、長期間では積み重なる
読者へのアドバイス:やめたいときはどうすれば?
かかりつけ薬剤師制度を解除したい場合は、薬局の窓口で口頭で申し出るだけで大丈夫です。「かかりつけ薬剤師の登録を解除してください」と伝えると、次回から通常の指導料に戻ります。書類の返却等は基本的に不要です。
逆に、「制度の内容をきちんと理解してかかりつけ薬剤師を活用したい」という方は、担当の薬剤師に「かかりつけ薬剤師として何をやってもらえるの?」と具体的に確認してみましょう。
- かかりつけ薬剤師制度は患者の文書同意が必要なオプトイン制度
- 費用増加は月約100円(3割負担の場合)——相互作用チェックや電話相談の価値と引き換え
- 解除は口頭申し出で可能・いつでも変更OK
- 複数科にかかる方・薬が多い方・在宅医療を見据えた方には特にメリットが大きい
- 不明な場合はサイン前に「費用が変わりますか?」と確認するのが◎
かかりつけ薬剤師制度の詳細・自分に向いているかどうかは、薬局の薬剤師にお気軽にご相談ください。