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「湿布は何枚まで保険で出るの?」63枚制限と選定療養のよくある疑問5選を薬剤師が解説

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尾崎 拓也(薬剤師・調剤薬局経営者)が執筆・監修
和歌山県内で調剤薬局を経営。本記事は現役薬剤師としての実務経験と公的資料に基づいています。 プロフィールはこちら

「先生に毎回70枚出してもらっていたのに、薬局で63枚しか出せないと言われた」「先月と今月で処方枚数が変わった」「医師が理由を書けば制限を超えられると聞いたが、どう頼めばいい?」——湿布薬の処方枚数制限については、Q&Aサイトや薬局の窓口でよく見かける疑問です。今回は、2022年4月から変わった湿布の枚数ルールと患者さんがよく困るポイントを、現役薬剤師が5つのQ&Aでわかりやすく解説します。

ネット上のQ&Aサイトや薬局窓口で見かける疑問・誤解をもとに、一般的なケースとして薬剤師が解説するものです。制度の最新情報や個別の疑問は、かかりつけ薬局・処方医にご確認ください(2026年8月時点の情報をもとにしています)。
📋 この記事でわかること
  • 湿布薬に枚数制限がある理由と制限の歴史(70枚→63枚)
  • 63枚を超えた場合の扱いと「選定療養」の関係
  • 医師が「必要と判断した理由」を記載すれば超えられる仕組み
  • 同じ月に複数回受診した場合の合計枚数と制限の関係
  • 薬局窓口での伝え方・確認方法

Q1:なぜ湿布薬に枚数制限が設けられたの?

湿布薬の枚数制限は、医療費の適正化を目的として2016年度の診療報酬改定で初めて導入されました。それ以前は、処方箋1枚あたり何枚でも保険処方できる状態でした。

制限が設けられた背景には、「大量処方によって使い切れず廃棄される湿布が多い」という実態がありました。湿布は1枚あたりの薬代が比較的安価なため、「念のために多めに出してもらう」「腰・膝・肩に毎日何枚も貼る」という使い方が広がりやすく、国全体の調剤費に占める湿布薬のコストが問題視されるようになりました。

📌 湿布制限の歴史
2016年度改定 1処方70枚まで 2022年4月〜改定 1処方63枚まで(70→63枚) 現在(2026年) 原則63枚まで(医師記載で例外あり)

制限は「1処方あたりの合計枚数」なので、複数の種類(冷湿布・温湿布など)を一緒に処方された場合は合計枚数が63枚以内かどうかで判断されます。

Q2:上限が70枚から63枚に変わったと聞いたが、いつから?なぜ7枚だけ?

湿布の1処方上限は2022年4月の診療報酬改定で70枚から63枚に変更されました(7枚の削減)。「7枚だけ?」と感じる方も多いですが、この削減幅には大きな理由があります。

湿布は1日最大2〜3部位に1〜2枚ずつ貼ることが多く、1週間(7日分)で考えると63枚〜84枚ほどが必要になりえます。63枚という数字は「3部位に1日3枚×7日分=63枚」という計算にも一致しており、「日常的な使用に必要な量は確保しつつ、過剰な処方を制限する」というバランスを意識した数字とされています。

ポイント:「70枚」はもう使われていない
2022年4月以降、湿布の1処方上限は63枚です。「以前は70枚だった」という情報は古い情報です。制限は処方する病院・クリニック側(医師)が守るルールで、薬局の薬剤師も処方箋を見てチェックしています。

Q3:63枚を超えた場合、保険が使えない?自費になる?

63枚を超える処方が出た場合、超過した分の扱いは以下のようになります。

ケース 患者の窓口負担
63枚以内の処方 通常どおり保険適用(1〜3割負担)
63枚超・医師が必要と判断し理由を記載した場合 全量保険適用(通常と同じ負担)
63枚超・医師が理由を記載しなかった場合 超過分は患者が全額自費(選定療養的な扱い)になる

「選定療養」とは、本来保険でカバーされるべき診療行為について、患者が一定の条件のもとで一部または全額を自費で支払う仕組みです。湿布の超過分については、医師が必要性の記載をしなかった場合、超過枚数分が保険の対象外となり患者が全額負担します。湿布1枚あたりは10〜30円程度が多いですが、枚数が多いと数百円単位の差が出ることもあります。

💡 実際には「超過処方」自体が少ない
実際には、病院・クリニック側でルールを把握しており、63枚を超えた処方箋を出す前に医師が自動的に枚数を63以内に調整するか、必要に応じて「理由記載」を行うケースがほとんどです。患者が薬局で初めて「超過」と言われるのは、例えば複数科をまたいだ処方が重なった場合など、まれなケースです。

Q4:医師が「必要」と書いてくれれば63枚を超えても保険で出る?どう頼めばいい?

はい、医師が「特に必要と判断した理由」を処方箋・診療録に記載した場合は、63枚を超えた処方でも全量が保険適用になります。

医師が理由を記載するのが適切なケースの例:

  • 貼付部位が多い(例:両肩・腰・両膝など複数箇所の痛み)
  • 1日の貼り替え回数が多い(1日2回貼り替えなど)
  • 疾患の性質上、長期・多量に必要(変形性関節症・リウマチなど)
  • 訪問看護・介護スタッフが貼り替えるため枚数が多く必要な場合

患者さんの立場から伝えるときは、「いつも63枚では足りなくて困っています。貼る部位や1日の枚数を確認したうえで、必要な分を処方していただけますか?」と正直に相談するのが最善です。医師が必要と判断すれば、処方箋に理由を記載して63枚を超えた処方を出してくれます。

薬剤師も相談に乗れます
「枚数が足りない」「なぜ先月より少なかったのか」と感じたら、薬局でも相談できます。処方内容を確認したうえで、医師への照会や情報提供を薬剤師が行うことができます。

Q5:月に2回受診すれば、合計が63枚を超えても大丈夫?

制限は「1処方あたり」のルールです。したがって、同じ月に2回受診し、それぞれ別の受診日に63枚以内の処方箋が出た場合は、月合計が63枚を超えていても制度上は問題ありません。

ただし、実際には注意点もあります:

  • 同じ薬局に2枚の処方箋を持ち込んだ場合、薬剤師が「同月内の処方が重複していないか」を確認することがある
  • 残薬が多い状態で次の処方箋を出すと「残薬調整(枚数を減らす提案)」が入ることもある
  • 月2回受診を繰り返す場合、保険者(健保・国保)が医療費の審査で確認するケースもある

「月に2回受診して倍の枚数をもらう」ことを目的とした意図的な受診は、医療費適正化の観点から好ましくないとされています。必要な枚数があるなら、主治医に正直に伝えて「1回の処方で63枚超の理由記載」をしてもらう方が、双方にとってシンプルです。

📝 まとめ
  • 湿布薬の1処方上限は2022年4月から63枚(以前は70枚)
  • 複数種類の湿布を処方された場合は合計枚数が63枚以内かで判断される
  • 63枚を超える場合でも、医師が必要と判断した理由を記載すれば全量保険適用になる
  • 「足りない」と感じたら主治医か薬局の薬剤師に正直に相談するのが最善
  • 制限は「1処方あたり」なので、月に複数回受診すること自体は制度上は問題ないが、意図的な多重受診は好ましくない
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療・服薬指導の代替となるものではありません。体調や薬について気になることがあれば、医師・薬剤師にご相談ください。制度・金額は公開時点の情報に基づきます。詳しくは利用規約・免責事項をご覧ください。

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