💊 おくすり代チェック

「毎月の通院が大変で…」生活習慣病の薬を長期処方に切り替えて通院費と薬代を節約したよくあるケースを薬剤師が解説

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尾崎 拓也(薬剤師・調剤薬局経営者)が執筆・監修
和歌山県内で調剤薬局を経営。本記事は現役薬剤師としての実務経験と公的資料に基づいています。 プロフィールはこちら

「先生、また来月来てね」——血圧と脂質の薬を10年以上もらい続けているAさん(70歳)は、毎月内科に通うたびにそう言われていました。電車とバスを乗り継いで片道40分。体が元気なうちはいいですが、足腰が弱ってきてからは「毎月の通院がしんどくなってきた」と感じていたそうです。

Aさんのような方に役立てていただきたいのが「長期処方」という選択肢です。薬局の窓口や、Q&Aサイトでもよく見かけるテーマですが、今回はよくあるケースをもとに、しくみと節約効果を薬剤師が解説します。

※ この事例は、薬局でよくあるケースをもとに再構成した一般的な例であり、特定の実話ではありません。長期処方の適否はかかりつけ医師が個別に判断します。(2026年8月時点の情報)
📋 この記事でわかること
  • 「長期処方」とは何か・リフィル処方箋との違い
  • Aさんが長期処方に切り替えるまでの流れ
  • 通院回数が減るとどのくらい節約できるか
  • 長期処方の注意点と向いている患者さんの特徴
  • かかりつけ医への相談のしかた

Aさんのケース:毎月の通院が12回→4回に

Aさん(70歳・女性)は高血圧と脂質異常症で、10年以上同じ内科に通っています。処方されている薬は降圧剤(アムロジピン)とスタチン(脂質異常症の薬)の2種類で、毎月28日分ずつもらっています。

症状は安定しており、毎月の診察でも「数値がいいですね、では来月また」で終わることがほとんど。でも通院のたびに以下の出費と時間がかかっていました。

💴 毎月の通院にかかるコスト(Aさんの例・目安)
診察料(3割負担) 約1,500円 処方箋料含む目安 交通費(往復) 約620円 バス・電車往復目安 所要時間 約2〜3時間 待ち時間含む 年間(12回通院)の合計 診察料約18,000円+交通費約7,440円+計約36時間の外出 ※薬代(調剤費)はどちらでも同じ総額のため別計上

薬代(調剤費)自体は処方日数が長くなっても総量が同じなら変わりません(後述)。大きいのは診察料・処方箋料・交通費・時間のコストです。

「長期処方」とは?リフィル処方箋と何が違う?

「長期処方」とは、1枚の処方箋で60日分・90日分など、通常より多い日数分をまとめて処方してもらう制度です。症状が安定している慢性疾患の患者さんに対して、医師が判断して処方します。

ここで混同されやすいのが、2022年から始まった「リフィル処方箋」です。長期処方との違いを簡単に整理します。

比較項目 長期処方 リフィル処方箋
処方箋の枚数 1枚のみ 1枚(最大3回まで使える)
日数 最大180日分(薬の種類による) 1回分×最大3回
受け取り 1回で全量 2〜3回に分けて薬局で受け取る
薬局での回数 1回 最大3回(毎回薬剤師が確認)

Aさんの場合、長期処方(90日分)を選択しました。一度に3ヵ月分を受け取り、薬局と病院への足を年4回まで減らすことができます。

切り替えたら、どのくらい節約できた?

Aさんが90日処方(年4回通院)に切り替えると、次のような変化が生まれます。

📊 月28日処方(12回)vs 90日処方(4回)の年間比較
現在:28日処方×12回 診察料・処方箋料:約18,000円 交通費(往復):約7,440円 所要時間:約36時間 年間コスト 約25,440円 +時間的コスト大 → 長期処方:90日×4回 診察料・処方箋料:約6,000円 交通費(往復):約2,480円 所要時間:約12時間 年間コスト 約8,480円 ▼ 約16,960円の節約

※ 診察料・処方箋料・調剤基本料は医療機関・薬局によって異なります。薬代(薬剤費)は処方日数が変わっても合計は同じ。上記はあくまで目安です。

薬代そのもの(薬剤費)は変わりません。90日処方では1回の薬局での支払いが多くなりますが、年間でトータルすると同じ量の薬の費用です。節約できるのはあくまで「通院回数の減少による診察料・処方箋料・交通費」の部分です。

長期処方の注意点:こんな方は向いていないかも

✅ 向いているケース
  • 症状が安定した慢性疾患(高血圧・脂質異常症・糖尿病など)
  • 同じ薬を長期間飲み続けている
  • 副作用や問題がなく継続できている
  • 通院が体力的・距離的に負担
⚠️ 注意が必要なケース
  • 症状が変動しやすい・調整中の方
  • 服薬管理が難しい(飲み忘れが多い)
  • 検査データの変動が大きい
  • 薬の変更・追加が頻繁にある

また、長期処方では薬剤師や医師と顔を合わせる機会が減るというデメリットもあります。体調の変化・副作用の兆候を見逃さないよう、異変を感じたらすぐに受診する心がけが大切です。かかりつけ薬局を決め、残薬の管理を薬剤師に相談することも有効です。

読者へのアドバイス:かかりつけ医への相談のしかた

長期処方はかかりつけ医が判断するものですが、患者さんの側から希望を伝えることができます。次のように切り出してみてはいかがでしょうか。

💬 医師への相談例

「症状は安定しているのですが、毎月通院が体の負担になっています。長期処方(60日や90日分)にしていただくことは可能でしょうか?」

医師が適切と判断すれば、血液検査の頻度や受診スケジュールを調整しながら長期処方に切り替えてもらえます。すべての薬が長期処方できるわけではなく(向精神薬・一部の医薬品など制限があるものも)、医師の判断が前提ですが、まず相談してみる価値は十分あります。

📌 まとめ:長期処方で節約できるポイント
  • 長期処方で通院回数を減らすと、診察料・処方箋料・交通費が節約できる
  • 薬代(薬剤費)の総額は変わらない
  • 症状が安定した慢性疾患(高血圧・脂質異常症など)の方に向いている
  • 「長期処方にしていただけますか?」と医師に相談することができる
  • 体調変化があればすぐ受診・かかりつけ薬剤師への相談も活用しよう

薬代節約に関して不明な点は、かかりつけ薬剤師や医師にご相談ください。このサイトの「おくすり代チェッカー」も、明細書の加算を確認するのに役立ちます。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療・服薬指導の代替となるものではありません。体調や薬について気になることがあれば、医師・薬剤師にご相談ください。制度・金額は公開時点の情報に基づきます。詳しくは利用規約・免責事項をご覧ください。

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